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7月, 2022の投稿を表示しています

UECS Piファームウエアを自分用にカストマイズする③

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今回は、UECS PiをWiFi(無縁LAN)で接続する方法を紹介します。 UECS PiがサポートするRaspberry Pi 2では無線LANは実装されませんが、Raspberry Pi 3以上では無線LANは標準装備です。無線LANを使えばLANケーブルの配線が不要になり設置の自由度が高くなります。もちろん有線LANの方が安心という考え方もありますが。まだテストはしていませんが、Raspbery Pi Zeroでも無線LAN付きモデルがあるので、使えるようになれば選択肢が増える可能性があります。 UECS Piファームウエアを自分用にカストマイズする① で紹介したように、UECS Piの画面では無線LANのIPアドレス設定はできません。また、無線LAN用のSSIDの定義も追加する必要がありますので、ここはRaspberry Piに直接ログインしてCUIで設定します。ステップとしては2つです。 無線LAN用のインターフェース定義をする(/etc/network/interfacesを編集) WiFiアクセスポイントの定義をする(/etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.confの編集) 始める前に。ネットでRaspberry Piの無線LAN接続の記事を調べるとdhcpcd.confに定義する方法が紹介されています。しかし、UECS PiのファームウエアではDHCPクライアント(dhcpcd)のサービスが使用されてないためか、dhcpcd.confに定義しても無線LANに接続できません。いろいろ試しましたがうまくいかないので/etc/network/interfacesに定義する方法をとりました。しかし、dhcpcd.confに定義する方法が推奨されているので、いずれそちらに移行する必要があるでしょう。 無線LANインターフェースの定義 /etc/network/interfaces それでは、/etc/network/interfacesに無線LANインターフェースの定義をしましょう。 編集の仕方は UECS Piファームウエアを自分用にカストマイズする① で紹介したようにエディターのnanoで編集します。 /etc/network/interfacesの無線LAN用定義例 画面はWindowsのPCにファイル転送してサクラエディタ...

UECS Piファームウエアを自分用にカストマイズする②

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前回の記事で、Raspberry Piをネットワークに接続できる状態になっていると思います。今回の作業はネットワークに接続されている状態で行う必要があります。 Raspberry PiのOSであるDebianは無料で配布され、有用な多くのツールも無料です。たくさんのツールの導入やバージョン管理のために"apt"というツールが準備されています。今回はこの"apt"を使って作業をします。 また、Raspberry Pi用の構成ツールraspi-configを使ってカストマイズする方法をご紹介します。 ソフトウエアの最新化 UECS Piのファームウエアにもaptは導入されています。操作はroot権限が必要なので、権限を持ったユーザーで行う必要があります。 (Raspberry Piの通常の配布パッケージでpiユーザーを使用する場合はコマンドの前にsudoを追加してください) 更新の前に、下記のコマンドで配布用のサーバーから最新のソフトウエア情報を読み込みます。 apt-get update 画面イメージ取得のためにWindowsのsshクライアント画面を使用しています。表示される中身はRaspberry Piの画面と同じです。 Reading package Lists...Done が表示されればOK。ここでエラーが出る場合、多くはインターネット接続ができていないのが原因です。前回のネットワーク接続の確認で紹介したifconfigやpingコマンドでLAN接続を確認しましょう。また、LANからインターネットに接続できるかも確認しましょう。前回編集した/etc/network/interfacesのファイルで間違って編集していないか再確認しましょう。 LANに接続できているのにインターネットに接続できない状況では下記の定義が関係します。  up route 255.255.255.0 eth0 チェックしてみてください。 updateが成功したらupgradeを行います。 更新していいか確認がありますのでYを入力。 ここからはパッケージ内容を読み込みますので少し時間がかかります。 今回はこんなメッセージも出ました。パッケージのレベルによってメッセージが変わりますので慌てないでよく読んで対処しましょう。 ssh関連の定義ファイルを更...

UECS Piファームウエアを自分用にカストマイズする①

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 新シリーズです。アルスプラウト株式会社より配布されているUECS Pi Basicを自分用に使いやすくカストマイズする方法を紹介するシリーズです。 「自分用に」といっても「私が」カストマイズした経験に基づいていますのであしからず。内容は、Linuxも含めて初心者の方を対象にしています。ネットですでに公開されている情報をもとにしていますので、熟練者の方には重複する情報になると思います。Linuxのコマンドをご存知の方がよいのですが、そこは必要最小限にとどめますので初心者の方も参照してみてください。 ご紹介する内容は、 UECS Piを直接触ってみる(ログイン方法、ネットワーク設定) OSの最新化、raspi-config導入、ディスプレイ、キーボードの変更 Wifi(無線LAN)でつなげる sshでWindowsから操作する の予定です。あくまで予定ですので書いてるうちに変更するかもしれません。今回は、1の「UECS Piを直接触ってみる」から。「直接」というのは、OSの画面に直接ログインして操作してみるという意味です。 UECS Pi Basicファームウエアを立ち上げたときの画面。GUIはなく、CUIでコマンドで操作する必要がある。 まずは立ち上げてみる Rasberry Pi 3Bの例 Raspberry Pi 4では、電源はUSBタイプC、ディスプレイはmicroHDMIに変更になっているのでケーブルを購入するときに要注意 上の図のようにHDMIディスプレー、USBキーボードを接続し、UECS Piのファームウエアを書き込んだmicroSDカードを挿入してmicroUSBの電源を入れます。(経験者には当たり前のことかもしれませんが) キーボードはできれば、英語配列のキーボードがいいです。日本語のキーボードでは特殊記号のキー配置が違うので苦労します。 (このテーマで重要な"_"アンダースコアは"0"の右のキーをShiftした"="のはず)   日本語キーボードを使いたい方は、次回に変更に仕方を記載するので少し我慢してください。 電源を入れると冒頭の写真の画面が表示されます。ここでユーザーIDとパスワードを入力しますが、これを記載するとセキュリティー上の問題があるので記載しません。Arsprout株式会...

UECS Piで肥料管理機を作る③ 肥料追加制御、水位センサー

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今回は、肥料追加制御の方法についてです。肥料管理機のポンプはなかなか高価で、自作派の懐には厳しいものがあります。肥料タンクの残少を検知するセンサーもメーカー品を購入すると高価になります。割り切るところは割り切ってコスト削減できないか考えてみます。 追肥装置 簡易型 ポンプを使わなくても重力による自然落下で肥料を水槽に流し込めないでしょうか。図のように肥料タンクを水槽よりも高い位置に設置して、バルブを開閉すれ肥料追加を制御できるはずです。正確な量は測れませんが、EC値を測定しながら少しづつ追加してあげればある程度の範囲で制御できるはずです。実際にやってみるとタンクの水位の高低で流れ出る水の量が少し変わります。正確にはできないけど、コストを抑えて作りたい場合には選択肢になると思います。 簡易型追肥装置 簡易型だと電磁バルブは2千円ぐらいで購入できるので、ポンプに比べコスト削減になります。電磁バルブは水用のものを使用する必要があります。また、pHアップ剤、ダウン剤を流す場合は薬品用のバルブを使用すないとバルブの中が腐食する可能性があります。 水用の電磁バルブ 左と中央が肥料用の電磁バルブ。ワンタッチ継手でチューブを取り付ける。右が薬品用の電磁バルブ。内部がシールドされている。口径が小さいので流量は少なくなると思う。 追肥装置 定量ポンプ 肥料タンクから液肥を吸い上げる必要があるまたは追肥量を正確に制御したい場合は、お金がかかっても電磁定量ポンプを利用する方がよいでしょう。 例えばイワキの電磁定量ポンプは上記のように信号入力用の端子から運転/停止を制御できます。 (ポンプの100V電源を入り切りするという方法は、ポンプを壊すかもしれないのでやめた方がいい) 回路も⑤と⑥を開閉するだけなので、フォトカプラを使えば運転・停止を制御できるはずです。(ポンプを購入してテストしたらまた報告したいと思います) このポンプは吐出量を設定で制御できるので、正確に追肥量を管理したい場合にも役立つはずです。もっと正確に吐出量を管理したい場合は、EXT信号でポンプを1ストロークずつ動かすこともできるので、プログラミングすればできるでしょう。 イワキ 電磁定量ポンプ  https://www.iwakipumps.jp/products/metering/elec/ 外部信号による運転(取扱説明書...

UECS Piで肥料管理機を作る② pHセンサーとECセンサー

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 水耕栽培用の肥料管理機自作の続きです。今回は、pHセンサーとECセンサーについて書きます。 pHセンサーとECセンサー、接続用自作ボード pHセンサー pH(昔はドイツ語読みでペーハーと読んでいたが、最近はピーエッチと普通に読むらしい)は、水溶液中の水素イオン濃度を測るものです。下図のようにガラス電極と比較電極の電位差により水素イオン濃度つまりpHを測定します。ガラス薄膜でできたデリケートなもので、衝撃はもとより電極を乾かすと壊れます。中にKCL(塩化カリウム)溶液が入っていて、メインテナンスにも使用します。(電極を洗浄後、指定濃度のKCl溶液に長時間浸しておく。詳しくはメーカーの取扱説明を読んでください) pH測定の仕組み HORIBAページ https://www.horiba.com/jpn/water-quality/support/electrochemistry/the-basis-of-ph/measuring-ph-using-a-glass-electrode/ pHセンサーはネットで購入できます。Amazonでも何種類か販売されていますが、仕様が詳しく説明されていないものは不安です。私は、中国のDFROBOTサイトから購入しています。(下の写真を参照) サイトは英語ですが、使用方法などが詳しく説明されています。(QAも英語ならできます) SEN0161は秋月電子通商でも購入できます(なんとなく信頼度が上がる)。1つだけ購入するなら秋月から購入したほうが安いでしょう。 SEN0161とSEN0169の違いは、SEN0169の方が頑丈にできていること。衝撃を保護するカバーがついているのと、校正の頻度が少なくてもよいようです。(DFROBOTに質問するとSEN0161はLabo向けでSEN0169はIndustry向けと表現していた) 私はSEN0169を半年以上継続使用していますが、そんなに測定値に狂いはないようです。植物工場の液肥に使用しているので、センサー自体の汚れが少ない環境であるのも理由の1つと思います。 念のため月に1度ぐらいは校正チェックや必要に応じて洗浄することをお勧めします。 セムコーポレーションのpHセンサー電極は4万円ぐらいします。それに対してSEN0161は$29.50、SEN0169は$64.90なので、予備や交換を...