UECS Piファームウエアを自分用にカストマイズする②

前回の記事で、Raspberry Piをネットワークに接続できる状態になっていると思います。今回の作業はネットワークに接続されている状態で行う必要があります。

Raspberry PiのOSであるDebianは無料で配布され、有用な多くのツールも無料です。たくさんのツールの導入やバージョン管理のために"apt"というツールが準備されています。今回はこの"apt"を使って作業をします。

また、Raspberry Pi用の構成ツールraspi-configを使ってカストマイズする方法をご紹介します。

ソフトウエアの最新化

UECS Piのファームウエアにもaptは導入されています。操作はroot権限が必要なので、権限を持ったユーザーで行う必要があります。(Raspberry Piの通常の配布パッケージでpiユーザーを使用する場合はコマンドの前にsudoを追加してください)

更新の前に、下記のコマンドで配布用のサーバーから最新のソフトウエア情報を読み込みます。

apt-get update

画面イメージ取得のためにWindowsのsshクライアント画面を使用しています。表示される中身はRaspberry Piの画面と同じです。

Reading package Lists...Done が表示されればOK。ここでエラーが出る場合、多くはインターネット接続ができていないのが原因です。前回のネットワーク接続の確認で紹介したifconfigやpingコマンドでLAN接続を確認しましょう。また、LANからインターネットに接続できるかも確認しましょう。前回編集した/etc/network/interfacesのファイルで間違って編集していないか再確認しましょう。

LANに接続できているのにインターネットに接続できない状況では下記の定義が関係します。
 up route 255.255.255.0 eth0
チェックしてみてください。

updateが成功したらupgradeを行います。


更新していいか確認がありますのでYを入力。

ここからはパッケージ内容を読み込みますので少し時間がかかります。
今回はこんなメッセージも出ました。パッケージのレベルによってメッセージが変わりますので慌てないでよく読んで対処しましょう。
ssh関連の定義ファイルを更新するかどうかのメッセージ。今回は現在のファイル内容のままにする。


無事、コマンドプロンプトに戻ってきました。再起動(reboot -h now)します。これでOSは最新になりました。
最新になりましたとは言ってもUECS Piファームウエアに入っているOSはバージョン9(コードネームStreach)でバージョン10以上に更新するには別の方法が必要です。ここではファームウエアに入っていたバージョン9.9がバージョン9.13に最新化されたということです。

Devianバージョンの確認(/etc/devian_versionの中身を確認する)
Raspberry piのOS Devianのバージョン https://wiki.debian.org/DebianReleases

raspi-configの導入

さて、次にRaspberry Piの構成ツールであるraspi-configを導入します。raspi-configはRaspberry pi用の構成を変更するツールです。
raspi-configドキュメント https://www.raspberrypi.com/documentation/computers/configuration.html

導入は、下記のコマンドで行います。
apt-get install raspi-config


エラーメッセージが表示されませんでしたので成功したはずです。念のためrebootしましょう。

raspi-configを使う① キーボードの変更

raspi-configはメニュー形式で構成を変更することができます。ここでは例としてキーボードを日本語キーボードに変更してみましょう。raspi-configとコマンド入力します。
raspi-configの実行にはroot権限が必要です。ここでの操作はroot権限を持ったユーザーでログインしていることが前提です。

全画面でメニュー画面が表示されます。キーボードの上下矢印でメニューを選択できます。改行または<Select>でメニューの実行。<Select>と<Finish>はタブキーで選択できます。
キーボードの変更のためには4 Localization Optionsを選択。

13 Change Keyboard Layoutを選択。

変更前はGeneric 101-key PCになっていると思いますので、これをGeneric 105-key (Intl) PCに変更します。

あとは画面通りに選択してください。画面は1例です。キーボードは本当にたくさんあり、今後も変更されるかもしれませんので、キーボードに合いそうなものを選択してみて試してみるしかなさそうです。





メニュー画面に戻ったら変更は終了です。rebootしてキーボードを変え、正しく文字が入力できるか確認しましょう。

raspi-configを使う② ディスプレイ解像度の変更

自分のオフィスではなく現場に設置したRaspberry Piの操作をするときにはディスプレイが無いと不便です。例えばネットワーク設定を間違えていて、急遽現場で構成を変えないといけなくなった等々。私は現場用に下記のような5インチディスプレイを購入しました。これと小型のUSキーボードがあるとかなり荷物は少なくできます。
しかし、これでCUIを使用すると文字が小さくて見えません。(泣)
5インチディスプレイで表示。文字が小さくつぶれてて判読できない。

これは解像度を引くすれば改善できます。raspi-configを起動します。
7 Advances Optionを選択。

A5 Resolutionを選択。

最初はDefault  Monitor preferred resolutionになっている。720×480に変更。

確認を求められるのでOK。この後、rebootするかという画面が表示されるのでrebootする。

再起動後、解像度が変更されています。下の画面がその様子です。
左は20インチぐらいのディスプレイで表示した様子。このままでも使用上問題はない。
右が5インチディスプレイで表示。文字が大きくなって見やすくなった。

今回は、管理ツールのaptでソフトウエアの更新をしてraspi-configを導入し、その使い方を紹介しました。aptやraspi-configの使い方に慣れておけばいろいろなことができるはずです。
*「UECS Pi」はアルスプラウト株式会社が提供する汎用DIY環境制御ソフトウェアです。https://www.arsprout.co.jp/products/others/uecs-pi/

*「UECS」は農業用のセンサー機器や制御機器用の通信・動作の共通仕様です。UECS研究会が公開しています。https://www.uecs.jp/outline/outline-index

関連リンク:EzITコンサルティング www.ezitc.dev




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