電子回路自作のHint&Tipsーはんだ付け
電子回路の自作するにあたって、はんだ付けは重要な技術。はんだ付けができると自作の範囲が広がります。Raspberry Pi 2Wはピンヘッダ付きの製品がなく、GPIOに接続したりするためにはピンヘッダをはんだ付けする必要があります。(パソコンの代わりにするにはピンヘッダはなくてもいいですが)センサーを乗せたモジュールなどもピンヘッダを自分の使いやすいものにしたいときにははんだ付けをする必要があります。
電子部品メーカーなどが作成したはんだ付けの方法の詳しい解説記事やYoutubeビデオはありますので、自分が経験したトピックについた書きます。
道具
まず準備する道具ですが、私は写真の道具を使ってます。
はんだごて
まずははんだごてですが、ワット数がいろいろありますが電子部品のはんだ付け用には30Wがよく売られています。自分は60Wを使っています。
熱する仕組みは電熱線とセラミックがあります。セラミックは温まるのが早いという利点がありますが、少し高価になります。まとめてはんだ付けするように段取りすれば電熱線式でもそんなに苦労はありません。初めて使ってみるには電熱線でも十分かと思います。自分は電熱線式を使ってます。頻繁に行うようになったらセラミックを使ってみたいと思っています。
はんだ付けを行う時は、こてを300~350℃に熱する必要があります。高すぎるとビニール被覆が焼けたり部品の樹脂部分が溶けたりするので温度調節機能つきを使ってますが、正直なところ電熱線式でどの程度が効果があるのかわかりません。電源ランプがずっと点灯しているので本当に調節機能が効いているのか。(せっかちなのではんだが溶け始めたらすぐ使ってるので)セラミック式で温度調節が早いものでは有効なのかもしれません。少し高価な30Wとセラミック製を試してみたいと思ってます。
こて先
あまり目立ちませんが結構重要なのがこて先。写真のようにいろいろな形状と太さがあります。形状は自分が使いやすいものを選ぶといいのですが、考慮が必要なのは太さです。
細いこて先の方が狭い部分の作業がやりやすく思えます。しかし、はんだ付けの時にはこて先から基板や電子部品に熱を伝えるのですが、こて先に貯めている熱量が十分でないとすぐにこて先の温度が下がってはんだが溶けないのです。はんだ付けするものが大きい場合にはふとこて先がやりやすいと思います。(太めの電線は結構熱を吸い取り難易度は高いです。Rapbberry Pi用のスタッキングヘッダーも意外にはんだ付けしにくいです。)
重要なのはこて先をキレイにしておくこと。薄くはんだがコーティングされて銀色の状態がいいです。小手先の金属が露出していると酸化して熱が伝わりにくくなります。はんだごてを使い終わったらこて先をはんだで薄くコーティングしておくとよいです。こて先は古くなったら交換したほうがいいです。
こて先クリーナー
はんだ付けの途中にも終わった後にも余分なはんだをこて先から取り除く必要があります。
スポンジに水を含ませて使用するものと、金属のワイヤーで取り除くものがありますが、金属ワイヤーのほうが圧倒的に使いやすいです。はんだごて台にスポンジを置く皿が付いたものがありますが使ったことはないです。金属ワイヤーはきれいにはんだが取れるし一度買えばかなり使えますので、こちらがおすすめです。
はんだ
はんだは鉛入りのものと鉛フリーのものがあります。鉛は環境に有害とのことで製品は鉛フリー化がすすめられているようです。(RoHS指令という規制もある) しかし、鉛フリーはんだは融点が高くはんだ付けしにくいそうです。(実際に使ったことはない) たくさん基盤を作らない私たちは鉛入りでいいかもしれません。
マスキングテープ
部品を基板に仮止めするのに使用します。ピンセットとかクリップとか使ってみたのですが、金属は熱を吸い取るので逆に使いにくいです。基板に一度にはんだ付けする部品をマスキングテープで固定しておいて、まとめてはんだ付け作業をしたほうが効率がいいです。
言わずもがなですが、テープはビニール製でなく紙製を。
精密ニッパー
はんだ付けしたと部品の余分な足を切るのに精密ニッパーがあると便利です。普通のニッパーよりも狭いところに届いて切れ味がよい。
マット
私は耐熱マットでなくて静電防止用のマットを使用しています。耐熱・静電マットというのが見当たらず静電対策を優先しました。静電気で部品が壊れるのが心配なので。耐熱性能は不明ですが机の保護にはなるでしょう。
はんだ付けする基板
基板もはんだ付けのしやすさに大いに影響します。基板のはんだ付けする部分をランドと言い、穴にもはんだ付けする金属(通常銅箔)の被覆があるのもをスルーホールと言います。スルーホールは両面にランドがあり穴も銅箔でつながっている状態です。
はんだ付けするにはスルーホールのほうが圧倒的にやりやすいです。ユニバーサル基板はノンスルーホール、スルーホールの両方が販売されていますが、片面は金属なしにしたいという特別な理由がない限り、私はスルーホールを使います。スルーホールの方が、配線と穴にはんだが吸い込みやすいのでしっかりと取付できますし、接触不良も防ぐことができます。
ノンスルーホールははんだが載る面が小さく、ランドの剥がれもおきやすいので、完成後も衝撃ではがれる心配をしなければなりません。なんだか動かなくなったなと思ったらはんだ付けの部分がはがれてたなどということをよく経験しました。
その点、プリント基板を自作したほうがはるかに信頼性が高いです。ユニバーサル基板では電線で配線を延長することがありますが、はんだ付けして延長するのは意外にむつかしく、完成後も配線のはずれを気にしないといけません。配線を分岐させるのもむつかしいです。
とは言ってもプリント基板を作成するのはスキルもいるしお金もかかるので作成する枚数と目標品質で判断しないといけませんが。プリント基板は設計用のCADでデータを作成して中国に発注すると意外に安価なものです。私は同じものを3枚作るんだったらプリント基板を作成すると思います。機会があればプリント基板の作成方法についても書いてみたいと思います。
ユニバーサル基盤を使って、リレーのテスト基盤を作ってみた。裏側の配線は不器用さを露呈している(恥ずかしながら)。ポリウレタン銅線は、絶縁されていてショートの心配は少ないがはんだ付けがむつかしい。導通不良で何度もやり直した。
プリント基板を使えばこのくらいコンパクトに作れる
はんだ付けの方法
はんだ付けの動画はYoutubeなどにありますので見たほうがわかりやすいかと思います。ここでは私が考えるポイントを書いておきます。
①はんだ付けするものを熱する
基板に部品をセットしてはんだごてをあて熱します。ポイントははんだをつけるランドと電線の両方を熱すること。熱くなった部分にしかはんだはのりません。これで何秒ぐらいというガイドはよくありますが、先ほど説明したようにはんだごての持っている熱とはんだ付けするものの大きさによるわけです。小さな部品はすぐに熱くなりますし、大きなものは時間がかかります。このときこて先に薄くはんだがのっていていて銀色の状態だと熱が伝わりやすいです。こて先が黒ずんでいるときははんだを少しコーティングしたほうがいいです。余分なはんだはクリーナーで落としましょう。
②はんだを溶かす
こて先と部品の間ぐらいにはんだをあてすぐに溶ければOKです。うまく溶けなかったら仕切りなおしてこて先の温度や状態をチェックしましょう。
③しみこむまで待つ
はんだ付けする面と部品にはんだが広がればOKです。スルーホールははんだが穴にしみこみますのでわかりやすいです。よくはんだが山型になるのが理想と言われますが、スルーホールは穴にはんだがしみこんでいれば接触不良やはずれはないでしょう。ここではTHT(スルーホール実装)を前提に書いてますが、SMD(表面実装)の場合ははんだ付けの面(ランド)と部品にきれいにはんだが広がってないとうまくいったとは言えません。SMDの部品は難易度が高いです。
慣れてきたら、小さな部品であれば1ヵ所3秒ぐらいでできるようになります。
④導通確認する
はんだ付けした後は必ず導通を確認しましょう。特にポリウレタン銅線は一見くっついていても導通がないことがあります。そのためにテスターは必需品です。
最後に
はんだ付けは溶接の一種ですが、そんなに強度はありません。スルーホールに取り付けた部品は簡単に取れませんが、2つの電線をはんだ付けするなどの場合は強度を出すのはむつかしいです。電線はどんどん熱を吸い取りますから、うまく熱しないとはんだがしみこみません。電線の接続には圧着端子やコネクタを利用したほうがよいと思います。機会があれば基板接続用のコネクタについても書いてみたいと思います。
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