水位センサーXKC-Y25とオープンコレクタ入力
水位センサーについてはUECS Piで肥料管理機を作る③で触れました。今回はXKC-Y25という非接触式液体レベルセンサを入手しましたので検証結果を報告します。
このセンサーを使用すると下の図のように水槽の壁面に貼り付けて液体に接触せずに水位を検知出来ます。(金属の水槽はだめ) 機械式に比べて設置が簡単だし、水漏れ、腐食の心配もないので便利だと思います。
さて、XKC-Y25ですがネットで検索すると3種類あることがわかります。XKC-Y25-V、PNP、NPNです。(データシートのT12VはVではないかと思います) 詳しい説明が書いていませんので今回は2種類(VとPNP)を買って試してみました。ポイントはオープンコレクタという接続方式で、PNPとかNPNとかのモデルの違いで差があるのかということです。
オープンコレクタって何?
簡単にいうとトランジスタを使ったスイッチ回路で、アウトプットがトランジスタのコレクタに接続されているのでそのような名称です。トランジスタは、上の図でB(ベース)に電圧がかかるとC(コレクタ)とE(エミッタ)が接続された(スイッチが入った)状態になります。スイッチが入った状態のとき、NPN型ではOUTの端子はGNDと同じ電位になり、PNP型ではVccと同じ電位になります。OUTをRaspberry PiなどのGPIOに接続すればセンサーのスイッチがオンになっているのかオフになっているのかがわかるという仕組みです。
XKC-Y25-PNPの場合
・電流:0.5mA以下推奨(数十kΩのプルアップ/ダウン抵抗)
下の図で、5Vの入力電圧が3Vになるはずです。(ちなみにGPIOに流れる電流は5V÷20KΩで0.25mAの想定)
UECS Piの設定画面です。デジタル入力(DIN)センサ画面で設定します。ブレッドボードに配線したGPIO4をINPUTにします。REGISTANCEはオフにします。分圧抵抗でGNDにプルダウンされていますし、プルアップまたはプルダウンを指定するとRaspberry Pi内部の抵抗が接続されて分圧抵抗に影響するのでオフに設定したほうがいいです。
XKC-Y25-Vの場合
前項と同じ回路にXKC-Y25-Vを接続してみるとセンサーがオンの時、GPIOへの電圧は2.4Vぐらいになります。このままでもGPIOは1.34V以上でONと判定しますからこのままでも使えるのですが、3Vを出すためにはどうしたらいいかを考えてみます。原因はXKC-Y25-VはNPN型であることのようです。オープンコレクタの説明の項に示した回路で、NPN出力ではセンサー回路がオンの時にGNDに接続されると説明しましたが、オフの時はVccにもGNDにも接続されず不定(宙ぶらりん)の状態になります。XKC-Y25-Vの仕様ではVCCと同じ電圧を出力することになっているので、センサーの内部回路でOUTは抵抗を挟んでVCCに接続(プルアップ)されています。試してはいませんが、XKC-Y25-NPNを使用する場合はセンサーの外側でプルアップしてやる必要があると思います。(注意)XKC-Y25-VでOUTをGPIOに分圧抵抗を入れずに直接接続するとGPIOに5Vの電圧がかかり、Raspberry Piを壊すかもしれません。
つまり、PNP型で使った分圧回路の20KΩと30KΩの抵抗が(20KΩ+R)と30KΩになって、GPIOへの電圧が下がるのです。計ってみるとRは15KΩぐらいです。3Vの電圧を出力するには、分圧回路のR1を10KΩ、R2を40KΩにすれば約3Vの電圧になるはずです。ブレッドボードに配線してみました。オンのとき約3Vの電圧が出ています。
おわりに
XKC-Y25のPNP、V、NPNのどれを選んだらよいのか、アプリケーションによりますが、GPIOに入力するにはNPNが良かったのかもしれません。PNPとVは、OUTの電圧がVCCの電圧と同じになりますが、NPNであればマイコンの入力希望の電圧に設定できるからです。Raspberry PiであればGPIOにプルアップ設定すれば、分圧抵抗はいらないはずです。機会があったら試してみたいと思います。また、お気づきの通りこれは中国製なので、納期に余裕があって勇気があるなら中国のネットショップの方が結構安く買えます。ただし、価格変動とか品切れとかが気になるところです。入手できるものを使えるように準備しておくのが重要かなと思ってます。
*「UECS Pi」はアルスプラウト株式会社が提供する汎用DIY環境制御ソフトウェアです。https://www.arsprout.co.jp/products/others/uecs-pi/
*「UECS」は農業用のセンサー機器や制御機器用の通信・動作の共通仕様です。UECS研究会が公開しています。https://www.uecs.jp/outline/outline-index
関連リンク:EzITコンサルティング www.ezitc.dev
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