Raspberry Pi Zero 2WでUECS Piを動かしてみる ー挫折編ー

 Raspberry Pi Zero WでUECS Piを動かしてみるに続いてPi Zero 2Wにトライしてみます。しかし、残念ながら今回は挫折しました。何がうまくいかなかったのか紹介しておきます。

左がRaspberry Pi Zero 2W。チップにRaspberry Piのマークが入っている。右はPi Zero WH。

Raspbery Pi Zero 2Wとは

今年2022年6月に日本発売となった新しいRaspberry Piです。ネットではPi Zeroの5倍のパフォーマンスと言われています。比較表にあるようにメモリーは512MBですが、CPUはRasppberry Pi 3Bに近いものです。64bit OSも動かせます。

Raspberry Pi Imagerを使うとWindowsやMACのPCで、Raspberry PiのOSを選んでSDカードに書き込むことができます。このツールでRaspberry Pi OS Lite(Desk Topなし)で32bitと64bit版を作成しまして試してみました。Pi Zero 2Wでは64bitも32bitも動きますが、Pi Zero Wでは、32bit版しか動きません。今回作成されたDebianのバージョンは11(Bullseye)でした。今回UECS Piで確認できなかったのでしっかりデータを取っていませんが、bootのスピードからいえば格段にPi Zero 2Wが速くなっています。やはりRaspberry Pi 3Bレベルだと思います。Raspberry Pi Zero WでUECS Piを動かしてみるでUECS Piの画面遷移を行ったときには、少しフラストレーションを感じるレベルでしたので、改善が期待できます。(しかし2つのセンサーからデータを収集してクラウドに上げるぐらいの処理ではPi Zero Wでも問題は発生してません)

UECS PiはRaspberry PiモデルB以上を前提にしているので、32bitです。Pi Zero 2Wでも動くはずです。

https://www.raspberrypi.com/software/からダウンロードする

実際に動かしてみる

UECS PiファームウエアのSDカードを挿して電源を入れてみます。Pi Zero 2WはLEDも何も点灯しません。これは故障かなと思いましたが、電源を入れた時にHDMIに接続したディスプレイが一瞬反応するので、電源の故障ではないかもしれません。

Pi Zero 2Wは今年発売されたものなので、Raspberry Pi 4でUECS Piを動かすで紹介したようにBoot区画のデータを最新版にしたところ、bootできるようになりました。(改めて最新のハードなんだなと実感しました) Pi ZeroシリーズではLEDを減らしているので電源が入っているかどうかわかりにくいです。

やっとbootできたので次はネットワークがつながるかどうかです。Raspberry Pi 4でUECS Piを動かすでは有線LANは接続できましたが無線LANはダメでした。Pi Zero 2Wは有線LANポートはないのでmicroUSBのLANポート付きハブを準備しました。結果は接続できず。このハブはPi Zero W + UECS PiのオリジナルSDカードでは有線LAN接続確認できているのでハードウエアの問題ではないです。状況を調べるためにRaspberry Piにログインして調べてみるとifconfigでeth0が表示されません。有線LANのインターフェースであるeth0として認識していないようです。USBデバイスの表示ではLANも認識されています。試しに手持ちのRaspberry Pi 3Bで今回作成したSDカードを動かし、ボードに取り付けてあるLANポートに有線LANを接続すると稼働します。これは前回のRaspberry Pi 4での確認結果と同じです。


では、Pi Zero 2Wのオンボードの無線LANは稼働するかネットワーク定義ファイル(/etc/network/interfaces)を編集して立ち上げましたが、これも接続できません。Raspberry Pi 4と同じ結果です。
残念ながら私の現在の知識ではこれが限界です。Raspberry Piは最新ソフトで動かすことを前提としているので、ネット検索してもうまい情報が出てきません。

まとめ

もともと、UECS Piのサポート外のハードウエアで動かそうとしているので限界があるのは仕方ないです。あえて次の一歩のために課題を整理しておくと次のようになります。
  1. 今回作成したSDカードでもmicroUSBのLANポートは、Debianバージョン11と同じように認識されていました。おそらくドライバーレベルまではOKだが、ネットワークの構成とうまくつながっていないと思われます。
  2. もともとDebianバージョン10あたりからネットワークの定義の仕方が変わってきて、/etc/network/interfacesを使用しないように推奨されています。UECS PiのDebianを最新にして新しいネットワーク構成の定義方法に移行したほうがいいかもしれません。

もし詳しい方がいらっしゃたらヒントでもいただけないでしょうか。

ほんとうは、UECS Piの最新バージョンであるArsprout Piで最新OSをサポートしてもらうのを待つのがよいのかもしれません。(Arsprout PiのサポートはRaspberry Pi 3 Model B/B+です) Pi Zero 2Wは非常に小型で能力的にはRaspberry Pi 3Bレベルが期待できますし、旧バージョンのRaspberry Piの供給がいつまで行われるのか不安な面があるので、最新OSの正式サポートを期待したいところです。

また、Pi Zero 2Wはなぜかヘッダピンがはんだ付けされたモデルが販売されていません。はんだ付けの経験のない方には一つのハードルになるかもしれません。機会があったら「はんだ付けのしかた」も書いてみたいと思います。

*「UECS Pi」「Arsprout Pi」はアルスプラウト株式会社が提供する汎用DIY環境制御ソフトウェアです。https://www.arsprout.co.jp/products/others/uecs-pi/

*「UECS」は農業用のセンサー機器や制御機器用の通信・動作の共通仕様です。UECS研究会が公開しています。https://www.uecs.jp/outline/outline-index

関連リンク:EzITコンサルティング www.ezitc.dev

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